はなや吟醸会 阿部勘と初冬の料理

去る20071125日に待望の「はなや吟醸会」が開かれました!お兄ちゃんこと、きき酒師美徳さんがメインとなって記念すべき第一回目は宮城の阿部勘酒造店さん。享保元年(1716年)創業。塩釜神社、神酒御用酒屋として仙台藩伊達家の命により酒造りを創めたという銘酒蔵です。「はなや」のメニューにもありましたね。

皆さんお揃い前にテーブルセッティング。すぐに召し上がって頂けるよう八寸は卓上に。それぞれのお酒を楽しんで頂けるようにお猪口も色々。お酒とお料理の詳細が明記されたお品書きと、お客様一人一人のお手製ネームカードに心も和みます。朱色のテーブルに器とお料理がよく映えてきれいですね。

本日はカウンターも裏方に。数々の食器も酒器も女将さんや美徳さん達があれこれ考えて選んだものです。温かいお料理は出来立てを・・・と、直前の仕込みに大忙し。和服に割烹着姿が素敵な女将さんといつも冷静な調理スタッフの佐々木さん。
寒いこの時期に嬉しい季節のお料理も登場します!お楽しみに。

先ずは、純米吟醸福露搾り新酒生原酒で乾杯です!「福の露と書いて福露(袋)搾りと、お酒はまさに福の露ということで命名したお酒でございます。呑んだ皆さまが幸せになって頂きたいという願いが込められています」と開会の言葉を述べる阿部勘酒造店の菅井氏。そしてカンパ〜イ!

本日のこの会の為に、静岡から駆けつけてくれたきき酒師の角川氏。美徳さんの大先輩です。滑らかな口調で分かり易いお酒の説明が好評でした。「まだこのお酒は出来立てで麹も生きているからね。微発泡していて力強いフレッシュ感が楽しめるでしょう」
確かに、甘すぎず生の新酒の力強さを感じるタイプのお酒ですね!薫りもあります。

今回のメインきき酒師の美徳さんも大忙し。お酒とのタイミングを見て、手際よくお料理もお出しします。今日は、佐和子さんもお手伝い。
将来の若女将も和服姿がよくお似合いで素敵ですね。

それではここで、お酒とお料理のご紹介を。

1、阿部勘純米吟醸 福露搾り新酒生原酒(山田錦・まなむすめ)精米歩合55% 
ALC17.0〜17.9%

【先付】うずみ豆腐 宮城米ひとめぼれの粥がけ(ぶぶ霰・岩海苔・いくらのせ)

粒々いくらとぶぶ霰の見た目もかわいいお粥ですが・・スプーンですくって頂くと中には滑らかなお豆腐(1/6丁分)が隠れています。「うずみ」とは「うずもれる」「うずまる」の意味だと。

2、阿部勘吟醸 (山田錦)精米歩合50% 
ALC15.0〜15.9%


【お造り】仙台生メバチ鮪、ぶどう海老、妻色々。

こちらも宮城に拘り仙台市産をご用意。マグロの水揚げ日本一の実績がある塩釜をかかえる、仙台市中央卸売市場は有名ですね。生メバチ鮪は脂がしつこくなく、上品な舌触りと旨味が特長。生ならではの香りが阿部勘吟醸酒にも良く合います。幻のエビと言われるぶどう海老は今が旬。外見は紫がかって甘エビにも似たようなしっとりとした食感と甘味、頭の味噌も臭みなく旨味そのままでした。器の縁の藍色に鮪の色が引き立てられて食欲も増します。

3、阿部勘大吟醸 金賞受賞酒原酒(山田錦)精米歩合40% 
ALC18.0〜18.9%


【蒸しもの】生鱈と白子のかぶら蒸し(天カブ)菊菜餡、金時人参。

新鮮な生鱈と白子は優良とされる北海道産。甘味が違います。かぶら蒸しは冬の寒い日にカブの白さを雪に見立てて食するという風流なお料理です。カブにつなぎとして卵白をまぜ、あくまで白く仕立てる手間のかかった一品です。菊菜とは春菊のこと。照り良い銀餡が月夜に浮かび上がる雪山を思わせます。金時人参の鮮やかな紅色がアクセントとなり全体を引き締めていますね。原酒とは思えないほど、優しい味わいの大吟醸酒にぴったりです!

、阿部勘特別純米 蔵の華お燗用(蔵の華)精米歩合60% 
ALC15.0〜15.9%

【焼きもの】牛舌漬けの炙り(絞り立て酒粕、仙台味噌漬け)。

厚みある牛舌は、断面を見ても分かる位にじっくりと酒粕と味噌に漬け込まれたもの。やはり仙台と言えば、牛舌も有名ですからね!焦げない程度に香ばしさを残しつつ、の絶妙な炙り加減も技術です。敷いてあるのは実はエゴマ。大葉よりも食感があり、清涼感あるエゴマに最後の一切れを包んで食せば後口もすっきり。宮城県独自の酒米「蔵の華」の上品な香りとも好相性です。

【酢のもの】あん肝(あさつき、紅葉おろし、橙ポン酢)。

一見、シンプルなあん肝ですが・・・コクも甘味も食感も最高です!特に拘りはポン酢。何故、橙の果汁を使ったかと言うと、特有の柔らかな香りが、素材や調味料の醤油や昆布の風味を生かしてくれるからだそうです。見えないところにこそ、細やかな心配りが嬉しい一品です。蔵の華のぬるめのお燗が、あん肝の旨味を一層引き立てますね!

5、阿部勘純米大吟醸 福露掛け搾り雫取り原酒(山田錦)精米歩合40%
ALC17.0〜17.9%

【強肴】牡蠣の柚香焼き(聖護院大根重ね、柚子釜)。

何が詰まっているのかは食べてみてのお楽しみ・・・と、ぷっくりとした牡蠣の下には甘い味噌で挟まれた軟らかな聖護院大根が。ここでも仙台味噌を西京味噌に合わせて使っていました。牡蠣はもちろん、宮城県産です。牡蠣のジューシーな旨味が大根にも染みているようです。旨味も薫りもある純米大吟醸はぴったり。原酒らしさを感じさせません。

6、阿部勘純米吟醸 発泡にごり生原酒(山田錦・まなむすめ)精米歩合55%
ALC17.0〜17.9%


【油もの】メバチ鮪ほほ肉のパン粉揚げ、紅大根サラダ。

まるで上質のヒレカツの様です。中はジューシーで衣はあくまでもカリッと。ほほ肉はあまり量が取れないので大変貴重な部位です。素材と衣を生かす為にほほ肉にしっかりと味付けし、紅大根と水菜サラダもシャキシャキのまま味付けなしで。ちょっと緑かかったカットレモンは国産です!パンチある発泡にごりにも決して負けない一品でした。

【お食事】鮭と舞茸炊き込み彩ごはん、香のもの。

締めは彩り豊かな炊き込みごはんで。醤油の香りもふわっと優しく立ち上ります。不思議とこれもお酒のお供になるんですよね。実は、仙台は鮭でも有名とか。最後の最後まで宮城県尽くしで満喫できました!ところどころにさり気なく、京野菜も使われているところが「はなや」流ですね。器とのバランスも素敵でした!

青いラベルも素敵!と、美人若手常連の愛子ちゃん。新婚ホヤホヤの新妻さんです。

囲炉裏卓にはほぼ毎日いらっしゃる大常連チームが。熱心にお話中は角川氏のお兄様、一夫先生。

お隣で頷く大谷氏。帽子の大山氏とお隣は順子さん。お品書きを手に陽子さん。

ずっと調理で大わらわだった女将さん。花束を手に登場です。そしてその花束を…奥のお席のお二人に!実はつい最近ご結婚された辻ご夫妻です。微笑ましい光景に、お隣に居た坂井氏も思わず手が…

どうぞ末永くお幸せに!居合わせた皆さん、心和むサプライズでしたね。

さて最後のお酒発泡にごりを目の前で開ける菅井氏。ところがこの瓶はかなり元気の良い醪クン達だったようで、流石の菅井氏も押さえるのに必死です。凄い圧力なんですよ!少し吹き零れたものの開けたてを頂きます!ピチピチ…よりもシュワシュワに近いでしょうか?躍動感あるにごり酒です。生きていますからね、命の息吹を感じます。

歴史ある阿部勘酒造店さんですが、現在の杜氏さんは地元塩竈出身、若干39才の平塚さん。南部杜氏の系統ですが、年間通じて蔵に滞在して居るとのことで最初から最後まで全ての工程を管理することが出来るそうです。南部杜氏集団と言うと、冬は大雪の為農作業が出来ず、他地域の蔵に酒造りの出稼ぎに出て春には又帰ってしまうのが普通だったからです。しかも平塚杜氏、10年間の杜氏修業の末(10年の経験が受験資格)昨年、南部杜氏試験を受けなんと首席で突破!優秀な杜氏さんだったのです。阿部勘さんも今後、益々楽しみですね!宮城の環境や食材に合った酒米、そして醸したお酒。塩竈という土地柄、海産物に合うようなお酒造り、杯の進む呑み口の良いお酒を意識しているとのことでした。地元で愛されその姿勢を変えることがないからこそ他の土地でも又、愛されるお酒で居られるのではないでしょうか?ユーモアを交えながら楽しく且つ、快活な口調の菅井氏。落ち着いて見えますが…実は昭和48年生まれとのこと。お嫁さんとかわいいお子さんにも恵まれて幸せ一杯な34歳です。本日は本当に有難うございました!! さあ、最後は身内で記念撮影です。左から…若女将佐和子さん、スタッフの佐々木さん、きき酒師の美徳さん、友人の雄馬さん、新妻愛子ちゃん、ご主人のヤスオミさん。皆さん、大変お疲れ様でした!!今後も「はなや蔵元の会」定期的に開催予定です。どうぞお楽しみに…   

文: 新倉ゴマ